神々の戦争記

作者/はぜのき(元海底2m

第四話 「コメディを取り戻すべく旅へと出かけよう」-3


「……さすがに夜うろちょろするのは怖いな。。。」
もう9時を回っている。ほとんど誰もいなくなり、薄暗い支部内を歩いていた勇はブルブルと肩を震わせた。
「ったく、こんな時間に何の用だよ……」
勇はブツブツ言いながら、天井からつるされた『研究棟』の看板の下をくぐった。


「あ…………」
廊下の途中で勇はとっさに声をあげた。いた。
氷雨はいつもと変わらぬ目でこちらを見つめてきた。勇は細めた目でにらみ返す。

「言いたいことが、二つ」
「え?」
唐突に氷雨が口を開くと、こちらに向かってきた。

すっと手を差し出され、勇はその中にあるものをまじまじと見つめた。
暗くてよく見えないが、白い水晶の欠片のような――

「ってこれ、この前の――!」
勇がとっさに声を上げると、氷雨は黙ったままコクリと頷いた。
いつだったかイディオゴンと退治した時にぶっ放した弾丸だ。確か周囲のシピアを奪うとかなんとか――

「――――ッ!!」

あの時の感覚を回想し、勇はとっさに後ろに跳ねた。
だが氷雨がヒョイヒョイと手招きしたのを見て、勇は恐る恐る近づいた。

「効果は切れてる、安全だから」
「ははーん。んで?これがどうかしたのか?」

氷雨はぐいっと腕を伸ばして、水晶を勇に差し出した。

(……取れ、ってことなのか???)

半信半疑で水晶に手を伸ばす。そして、指先がふっと硬質のそれに触れた、その時――


     『お前は神を信じぬか』『これは報いだ』「逃げろーッ!!」『志の神ここにありけり』「勇!お前は逃げろ!生きろッ!!」『我が復讐果たしたり』『3000年――』













































































            『  死  ね  』





「!!!」

我に返った時には水晶を投げ捨てていた。悪寒が背筋を駆け抜ける。

――なんだ、今の…………


氷雨はこちらを見つつ水晶を拾い上げ、そして白衣のポケットに入れた。そして息のような声で話しかける。



「何が聞こえた?」

揺るがない目と声に、勇はふと、氷雨に恐怖心を抱いた。