神々の戦争記
作者/はぜのき(元海底2m

第四話 「コメディを取り戻すべく旅へと出かけよう」-5
「なぁなぁ川島!副作用と本効果ってなんだ?」
「消灯ギリギリで帰ってきていきなり質問かよ。しかも副作用ってなんだよ」
部屋に上がって靴を脱ぎ捨てるなり突然質問を浴びせた勇に対し、川島は眉間にしわを寄せた。
「え、じゃぁなんだ」
「付属効果だろ。本効果はシピアが呈するベースの効果。付属効果はそれとは別に効果を表す、いわゆるおまけだ。
たとえば、炎シピアの本効果は火を出現させることだけど、付属効果は熱を発生させること」
「ははーん。タイを釣ったらエビも釣れちゃった的な感じのあれか」
「……なんか違う気がするんだが」
川島が言ったことは気にせず、勇はちゃぶ台にもたれかかると加えて質問した。
「雷はどんなのが付属効果だ???俺やったことないけど」
「お前には当分無理だろうよ」
「んな!?お前今俺のこと侮辱したろ!?」
「さぁな、それくらいのことは自分で調べろ」
ケチな奴、と口をとがらせた勇は再び口を開いた。
「なぁなぁ、お前、志の神ってどんな奴だったと思う?」
「はぁ?」
勇の意外な質問に、川島は声を上げて勇を見つめた。
「どんな奴って……どういう意味だよ」
「だからー」
勇は体を起こして川島の隣に座りなおした。
「おとぎ話の中では、志の神は嶷帝と他六人の神を皆殺しにしてんだろ?志の神ってそんなに強かったのか?」
「なんでそれを俺に聞く。俺が知ったことじゃねぇだろ」
蹴った川島に、勇はニィッと歯を見せた。
「川島は神様とか信じてそうだからなー」
「『様』はいらねぇだろ。神っていう名の動物がいたとしたらなんら不思議じゃないってだけだ。
現に神々のコア宝石は点在してるんだし」
勇は川島の話を聞きながら、先ほどの氷雨との会話を思い出した。
(そういや、あいつも『絶滅した』って言ってたな……)
そんなことを思っていると、川島の方から口を開いた。
「おとぎ話が本当かどうかは別として、神は存在していたと俺は思う。
志の神がいたとして、それがどれほど強かったかなんて、俺には分からない」
「ふーん……」
川島はそういうと立ち上がって、天使の輪っか状の蛍光灯から垂れるひもに手をかけた。
「消すぞ」
「わっちょっと待て、枕の準備が……!」
ベッドをもさくさしていた勇は、やがて布団にもぐりこみ、ぐっと親指を突き立てた。
川島はそれを見ると一回、二回。ひもを引いて、自分も布団に入った。

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