神々の戦争記

作者/はぜのき(元海底2m

第五話 「裏鉄隊と残された一匹」-33


『では、防衛部は迅速に作戦を発表するように。また、必要であれば裏鉄隊にも協力を要請するとしましょう』


若干のノイズと共に議長の声が響くと、そこで氷雨は停止ボタンを押した。
腕を組んでいた真里谷がそれを解いてちゃぶ台の上に手をかける。

「……しかし本当に手に取るように分かるもんなんだな」
「やつら、俺達に聞こえてるなんて微塵も思ってないだろうな」

榊が得意気に笑った。しかし、決して榊の手柄というわけではない。

どういうことかというと、事は10分前に遡る。



この昭和な雰囲気満載の作戦会議室になれ始めた頃、桐山颯希は一人でポテチを食いながら番をしていた。
他のメンバーは、ある人はトイレに行ったり、ある人はテレビの録画に行ったり、
ある人は牛丼を買いに行ったりと、普段の厳戒な支部とはかけ離れた理由で少々出かけていた。

で、何も用がないという桐山に一袋のポテチが放られ、「これでも食っとけ」と、川島に言われた。

こういうわけで、渋々ながら座布団を二枚使ってゴロゴロしていた桐山だったが、ブザーの音でむくりと起き上がった。
誰だろう、と立ち上がって壁際に設置されているスクリーンに目をやると――

「ひ、氷雨ちゃん!?」
そこにいたのは氷雨だった。しかしそれだけではない。彼女は両脇にスーツケースのようなものを引き連れていたのだ。

急いでロックを解除し、梯子を下ろすと桐山は慌てふためいて梯子を駆け下りた。

「ほ、ほれパリッないあはいっへパリふお?」(そ、それ何が入ってるの?)

ちょっとでも得をしようとポテチを頬いっぱいに詰め込んだ桐山が聞くと、氷雨はスーツケースを置いて壁に向かった。
そして、荒川が先程いじったように、スイッチをパチパチといじり始める。

何をするつもりなのか、と桐山が頭上に「?」を浮かべていると、
やがて彼女は最後のワンタッチを終えたようで、梯子の方を見上げた。

すると、あろうことか、天井の穴から何かが下りてきたのである。

降りてきたそれは、一本の鉄の棒の先に、平らな円形の板のようなものがついているものだった。
どうやら、板の部分に立つことで、ウィーンと上に上がれる仕組みなのだろう。

氷雨はスーツケースを二台、その板に載せると、自分もちょこんと飛び乗った。

「下のスイッチを押して」
「えっ!?あ、おーけー」

桐山は言われた通りにパチンと下のスイッチを倒すと、氷雨と二台のスーツケースはエレベーターのように上へと上昇した。

「え、ちょっちょっちょっと待って!」

桐山はあわてて氷雨の後を追う様に梯子を上った。

『では、防衛部は迅速に作戦を発表するように。また、必要であれば裏鉄隊にも協力を要請するとしましょう』


若干のノイズと共に議長の声が響くと、そこで氷雨は停止ボタンを押した。
腕を組んでいた真里谷がそれを解いてちゃぶ台の上に手をかける。

「……しかし本当に手に取るように分かるもんなんだな」
「やつら、俺達に聞こえてるなんて微塵も思ってないだろうな」

榊が得意気に笑った。しかし、決して榊の手柄というわけではない。

どういうことかというと、事は10分前に遡る。



この昭和な雰囲気満載の作戦会議室になれ始めた頃、桐山颯希は一人でポテチを食いながら番をしていた。
他のメンバーは、ある人はトイレに行ったり、ある人はテレビの録画に行ったり、
ある人は牛丼を買いに行ったりと、普段の厳戒な支部とはかけ離れた理由で少々出かけていた。

で、何も用がないという桐山に一袋のポテチが放られ、「これでも食っとけ」と、川島に言われた。

こういうわけで、渋々ながら座布団を二枚使ってゴロゴロしていた桐山だったが、ブザーの音でむくりと起き上がった。
誰だろう、と立ち上がって壁際に設置されているスクリーンに目をやると――

「ひ、氷雨ちゃん!?」
そこにいたのは氷雨だった。しかしそれだけではない。彼女は両脇にスーツケースのようなものを引き連れていたのだ。

急いでロックを解除し、梯子を下ろすと桐山は慌てふためいて梯子を駆け下りた。

「ほ、ほれパリッないあはいっへパリふお?」(そ、それ何が入ってるの?)

ちょっとでも得をしようとポテチを頬いっぱいに詰め込んだ桐山が聞くと、氷雨はスーツケースを置いて壁に向かった。
そして、荒川が先程いじったように、スイッチをパチパチといじり始める。

何をするつもりなのか、と桐山が頭上に「?」を浮かべていると、
やがて彼女は最後のワンタッチを終えたようで、梯子の方を見上げた。

すると、あろうことか、天井の穴から何かが下りてきたのである。

降りてきたそれは、一本の鉄の棒の先に、平らな円形の板のようなものがついているものだった。
どうやら、板の部分に立つことで、ウィーンと上に上がれる仕組みなのだろう。

氷雨はスーツケースを二台、その板に載せると、自分もちょこんと飛び乗った。

「下のスイッチを押して」
「えっ!?あ、おーけー」

桐山は言われた通りにパチンと下のスイッチを倒すと、氷雨と二台のスーツケースはエレベーターのように上へと上昇した。

「え、ちょっちょっちょっと待って!」

桐山はあわてて氷雨の後を追う様に梯子を上った。