神々の戦争記
作者/はぜのき(元海底2m

第五話 「裏鉄隊と残された一匹」-7
「え、じゃっ、じゃぁ俺はこれで……」
勇は異様な空気を感じて、逃げるようにして部屋を出た。
後ろを振り返ることなく一気に廊下まで出てきた勇は、いつの間にかまた肩に戻っているカラスを気にする余裕はなかった。
ゼェハァと息を荒くして膝に手をつく。それにしても――
(あの二人…………何かありそうだな……)
この前の実験の時も、荒川は氷雨と二人で残っていた気がする。
だとしたら、一体どんな関係になってるのか……?
勇は、大きな疑問を残したまま本棟に戻って行った。
――*――
「なんだ、あいつ」
そそくさ出て行った勇の後姿を見届けた後、荒川は言った。
「特に」
……相変わらず質素な奴だ。
「んでどうした、何かやらかしたか?」
実を言うと、昨日氷雨にメールで呼び出しを受けていたのだ。
部署が違うとはいえ、仮にも上官を呼び出すとは、などと顔をしかめ、渋々出てきた態である。
氷雨は完全にその不満を無視して口を開いた。
「彼を呼んで」
「彼って……ヘルクルゥドをか?」
氷雨は頷いた。荒川は顔をしかめる。なんでまた――
「何が目的だ」
氷雨は惜しみ気もなく淡々と答えた。
「志の神について聞きたいことがあるの」
それを聞いて、荒川はあきれた。
「聞いて答えてくれるようなら苦労しねえよ」
それどころか、歴史は今頃塗り替わっているだろう。ただでさえ『おとぎ話』が通用しない世界だ。
「大体、お前が聞かなきゃ分からないことなのか」
氷雨は階級が低いとはいえ、そこらへんの知識に関して天才の域に達している、と、荒川は思う。
氷雨はコクリと頷いた。
「志の神のコア宝石が見つかるかもしれない」
「!!」
志の神の?なんでいまさら――
荒川はまだまだ言いたいことが山ほどあったが、それをこらえて口を開いた。
「分かった、呼んでやる。ただし、責任はとらんぞ」
氷雨はコクコクと頷いた。
「え、じゃっ、じゃぁ俺はこれで……」
勇は異様な空気を感じて、逃げるようにして部屋を出た。
後ろを振り返ることなく一気に廊下まで出てきた勇は、いつの間にかまた肩に戻っているカラスを気にする余裕はなかった。
ゼェハァと息を荒くして膝に手をつく。それにしても――
(あの二人…………何かありそうだな……)
この前の実験の時も、荒川は氷雨と二人で残っていた気がする。
だとしたら、一体どんな関係になってるのか……?
勇は、大きな疑問を残したまま本棟に戻って行った。
――*――
「なんだ、あいつ」
そそくさ出て行った勇の後姿を見届けた後、荒川は言った。
「特に」
……相変わらず質素な奴だ。
「んでどうした、何かやらかしたか?」
実を言うと、昨日氷雨にメールで呼び出しを受けていたのだ。
部署が違うとはいえ、仮にも上官を呼び出すとは、などと顔をしかめ、渋々出てきた態である。
氷雨は完全にその不満を無視して口を開いた。
「彼を呼んで」
「彼って……ヘルクルゥドをか?」
氷雨は頷いた。荒川は顔をしかめる。なんでまた――
「何が目的だ」
氷雨は惜しみ気もなく淡々と答えた。
「志の神について聞きたいことがあるの」
それを聞いて、荒川はあきれた。
「聞いて答えてくれるようなら苦労しねえよ」
それどころか、歴史は今頃塗り替わっているだろう。ただでさえ『おとぎ話』が通用しない世界だ。
「大体、お前が聞かなきゃ分からないことなのか」
氷雨は階級が低いとはいえ、そこらへんの知識に関して天才の域に達している、と、荒川は思う。
氷雨はコクリと頷いた。
「志の神のコア宝石が見つかるかもしれない」
「!!」
志の神の?なんでいまさら――
荒川はまだまだ言いたいことが山ほどあったが、それをこらえて口を開いた。
「分かった、呼んでやる。ただし、責任はとらんぞ」
氷雨はコクコクと頷いた。

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