神々の戦争記

作者/はぜのき(元海底2m

第一章  第三話  「たかが幻、されど幻。彼の瞳もいつも幻(殴」-24


荒川は一旦手を止めると、額を袖で拭った。
辺りを見回し、キザラビスタの様子を見る。


大分数が減った、もう心配はないか―― とその時。












「――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!」






鈍っていた神経が一気に張り詰める。

紛れもないこの違和感――呼吸じゃない呼吸――


間違いない、『無』だ――


しかし奴はもう既に死んでいるはず……別の個体か?
いや、違う――

もしもこの群れの暴走が無の死にあるとしたら?目的は?
壁を強行突破することか?――違う。

量は質にはつながらない、ならばやはり無が――


「ッ!そういうことか――!?」
荒川は先ほど来た方向に体を向けると全力で走った。無線で真里谷に連絡を入れる。

「聞こえるか?!俺はしばらく抜ける!三人でなんとか持ちこたえろ!」

荒川に真里谷の応答は聞こえない、否、聞いていない。


勇は昔の俺と同じ――
無はそれに気づいたのか?いや、気づかないはずはない。

となれば壁の強行突破は不可能だ、即座に別の作戦にうつったことになる。
一番簡単なのは敵を自分から遠ざける、つまり俺達をこちらに向かわせる――
                                、、、、、、、、、、、
だとすればこの暴走はフェイクなのか?違う、もっと前にフェイクはあったはずだ――







――無は死んでいない、否、死んだふり――


群れは俺たちを引き付けるために暴走、その隙に無は――――







「――っチキショオッ!!!!!」