神々の戦争記

作者/はぜのき(元海底2m

第五話 「裏鉄隊と残された一匹」-1


「よう!お前、さっきの五十嵐だろ?」
廊下に出て勇は後ろから背中を叩かれた。

見ると長身の男がニヤニヤ笑って立っていた。先を歩いていた川島と桐山が足を止め、こちらを見つめる。

「えっ、あ、はい、そうですけど……」
上官(っぽい)ので敬語を使うと、男は笑った。

「堅苦っしいなぁ。どうせ裏鉄隊の中じゃ階級は意味ないし、お前さえよければ敬語なんか捨てろ」
「いえ、そんなことないです!ていうか、まだあんまり実感が湧かないんですけど…」

そういうと男は川島たちの方を見た。

「俺は榊和。第二部隊から来たわけだが、まぁこれからよろしく。お前は川島で、そっちは桐山だったな」
「「よろしくお願いします」」

「よし、んじゃぁまた今度だな」
川島と桐山が言うと、榊は手をひらひらと振って勇たちとは反対の方向に歩いて行った。


「榊さんか……」

勇は呟きながら訓練場へと向かった。


訓練が終わり、あたりはもうすっかり暗くなっている。
勇と川島はグッタリしながら、やわらかい白熱灯の光に包まれた廊下を歩いていた。

「あれ」
異変に気付いたのは川島だった。

「??? なに?どうした?」

自室の前で立ち止まった川島を見て勇はようやく気付いた。ポストに白い紙きれが挟まっている。

「もしかして裏鉄隊の……」

勇が言い終わる前に川島は紙抜き取った。
「とりあえず、中に入ろう」



中に入って、紙を開くとA4にギッチリと文字が書かれていた。
勇に文章解読能力は標準のそれ以下しか備わっていないので、川島に読んで説明してもらった。


裏鉄隊は指揮長を除く防衛員12人で構成される遊撃部隊。おもに3人一組の4チーム単位で作戦を遂行する。
メンバーは以下の通り。

指揮長:荒川克之 防衛二曹

隊員:五十嵐勇 防衛二士
   ヴィータ・フォルティス 防衛三佐
   御伽千  防衛二士
   川島誠也 防衛二士
   桐山颯希 防衛二士
   黒御影凛 防衛二士
   榊和   防衛三佐
   ファレン・S・サンタアレラク 防衛一士
   真里谷六角 防衛三曹
   峰十色  防衛三士
   ユーフェル・クロフォード 防衛一士


「うっわ~、知らねぇ奴ばっか」
あ、でもファレンって奴は前に作戦一緒だった時があったなぁ……

「階級もバラバラだな。それに指揮長より階級が高かったりするし……」
榊が言っていた階級は関係ないっていうのはどうやら本当らしい。

しかしその時、勇はあることに気付いた。
「あれっ、でも11人しかいないぞ」

指揮隊長は除きって書いてあるし、と勇が言うと、川島も怪訝な顔になった。

「確かに……追加がいる、ってことか?」

また、連携を確かめるために明後日の午後に模擬戦闘を行うというが、結局メンバーのことについては謎のままだった。


「ま、とにかく明後日になりゃわかるっしょ」

勇が言うと、川島もそうだな、と言ってベッドに入ってしまった。


「退院したばっかりだ。ゆっくり休めよ」
「おうよ」

二人はこうして、眠りに就いた。



































と、思っていた。