ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人

作者/漆千音 ◆1OlDeM14xY(元Chess ◆1OlDeM14xY

【 Ⅷ 友達 】登場人物紹介


 __マルヴィナ__
   人間界では19歳の元天使。
   『職』は魔法戦士で、称号は“天性の剣姫”。
   剣術において天才的であり、どんな剣でも瞬時に使いこなす。
   自分の中に眠る謎の能力と記憶に戸惑いがち。

 __キルガ__
   元天使でマルヴィナの幼なじみ。
   『職』はかなり素早い聖騎士_パラディン_、称号は“静寂の守手”。
   冷静で知識豊富でついでに容姿がいい。
   マルヴィナに好意を寄せるが未だに気付いてもらえない。

 __セリアス__
   元天使、マルヴィナの幼なじみ。
   『職』はバトルマスター、称号は“豪傑の正義”。
   記憶力[は]抜群。戦いに関しては誰にも負けない。
   機械を扱ったり仕掛けを解いたりするのは彼の仕事。

 __シェナ__
   セントシュタインで出会った、銀髪と金色の眸を持つ娘。
   『職』は賢者、称号は“聖邪の司者”。
   元天使の一人らしいが、その話題には触れたがらない。
   よく火に油を注ぐ発言をしたり、キルガのからかい役になったりする。



__サンディ__
   自称『謎のギャル』の超お派手な妖精(?)。
   やや強引な性格。人間には姿が見えない。
   出番が薄れがち。(というかほぼ出ないかも

   最近は夜更かし+寝坊をしまくっている。

__マキナ__
   サンマロウの町の発展に力を尽くした大富豪の娘。
   病弱だったが、一年前に突然その病気が治り、今では
   何人もの人々を家に招いては物を与え続ける生活を送る。

__デグマ__
   顔も頭も、名前からしても悪そうな筋肉ムキムキの怪しい男。
   どうやらこちらもまたシェナと面識があるらしいが

   (マルヴィナ: シェナ、あんたいったい何者!?)
   (シェナ: あー、その誤解は初めの方に解くわ)

__ハイリー__
   かつてベクセリアの町長宅で執事の代理のメイドを務めた女性。
   故郷のサンマロウで、現在は宿屋で働く。




【 Ⅷ 友達 】――1―― page1


 マルヴィナのフードも、だんだんと重くなってきた。
なにしろ大きさにしては重過ぎる女神の果実が三つも入っているのだ。
ついでにサンディまで入っているのだ(サンディも重い、……といったらぶっ飛ばされそうだが)。
「首が絞まる」
 マルヴィナは、フェンサードレスの胸元のボタンを外す。シェナがさっ、と妙に青い顔で振り返り、
[そこ]を見て、「……許容範囲ね」と呟く。
そして思わずその様子を見かけた(もちろん意味に気付いて慌ててそらした)男二人をひと睨みする。
「ま、天の箱舟に入れたら不気味な光景になっちゃうしね」
 天の箱舟は人間の目には見えないが、果実はそうではない。
つまり、果実だけが宙に浮いた状況に見えてしまうのだ。
「あ、ソレない」
 だが、それに反論したのはサンディである。
「大丈夫なのか!?」
 マルヴィナは喜んで、箱舟にいれに行こうか――と考えていたのだが、その思いはすぐさま打ち砕かれる。
「今箱舟ちゃんないデスし。呼び出しでもしなきゃ来ないワヨ」
「…………………………は?」
「呼び出せないのか?」
「だって知らないし、呼び方」
「……・ちょっと、それじゃあ帰るとき、どーすんだよ……?」
「ま、そのトキはそのトキ」
「サンディぃぃぃ!!」



 というのは余談として(するな、というマルヴィナの声は無視して)。
「みんなぁ、ちょっと」
 シェナの声がした。……ちなみに、一同はまだカラコタ橋にいる。デュリオ盗賊団に妙に気に入られたらしい。
「何?」
「デュリオに聞いたんだけど」
 シェナが指を鳴らす。妙に情けない音だったが、言ってシェナチョップを食らいたくはないので全員黙っておく。
「ここから南の港町。なんていうか忘れたんだけど、[まだ]ちゃんと船があるみたいね。
どうにかして譲ってもらえると助かるんだけど」
「サンマロウっすよ」
 デュリオの苦笑の一言に、真っ先に反応したのはセリアスだった。
「サンマロウだって!」
 マルヴィナは驚き、キルガが素早く、ほら、セリアスのお師匠さんの担当地、と言う。
「あぁ」マルヴィナは納得したが、デュリオたちやシェナがその反応の理由を知るはずもない。
「前、そこの舟にも乗りやしたんでね。間違いない」
「……間違いないんだな……」
 デュリオの言葉を復唱して、セリアスは興奮を明らかに抑えた様子で答える。
「と言うか、姐さんに初めて会ったのが、その時でやしたからね、間違いないっす」
 盗賊団の一人がそう言い、シェナ以外三人が「はい?」と問い返す。
「あはは。そういえば、その話まだしていなかったわね。――ひとまず、船を目指して、
サンマロウに行ってみましょうよ。――あ、そこの食料、詰めてもらえる?」